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(影の中の声)

 

​ひっそりとポエムをのせてゆく。

詩を詠むミクさん

voice in the shadows

羊の眼が光る夜、月が笑って歯を見せる
言葉を食べたカバンが、時間を嘔吐する
青い蝶々が逆さまに舞い、海を飲み干す
砂時計を割ったら、星が降り注いだ
鏡の中の人が外に出てきて、僕の靴を履いていった

本のページをめくる手が、突然泡になって消えた

火星の音楽は水の味がする、と鳥が叫ぶ
枕元に置かれた時計が、毎夜異なる言語で話し始める
電話ボックスから出てきたのは、昨日の私だった
窓から見える空が突然、緑色に変わり、雲が踊りだした

[CN]
羊的眼睛在夜里发光,月亮笑着露出牙齿
吃了话的包包吐出了时间
蓝色的蝴蝶倒挂着跳舞,喝光了海
打破沙漏,星星掉下来
镜子里的人出来了,穿上了我的鞋子

翻书的手突然变成泡泡消失了。

火星的音乐听起来像水,鸟儿在叫
枕头边的钟每晚用不同的语言说话
从电话亭出来的是昨天的我
从窗户看出去,天空突然变绿了,云开始跳舞

 
 
 

shadows whisper

影がささやく、声は光を飲む、
「月はどこへ行った?」と、花が泣く夜。
鏡の中の海、逆さの船、
踊るはずの時計、止まる歌。

ガラスの猫が空を歩き、
星の糸で縫う夢、片目の鳥。
冷たい火の下、温かい雪が融け、
声は影を求め、影は声を呼ぶ。

「忘れられた言葉よ、舞い上がれ!」
声、影の中で生まれる。

[EN]
Shadows whisper, light is drunk,
"Where has the moon gone?" cries the flower at night.
A sea in the mirror, ships upside down,
A clock that should dance, a song that halts.

Glass cats walk the skies,
Dreams stitched with threads of stars, a one-eyed bird.
Under cold fire, warm snow melts,
Voices seek shadows, shadows call to voices.

"Forgotten words, rise up!"
The Voice, born within the shadows.

​歌うことだけは知っている
(Inspired by "ピノキオピー 匿名M")

I'm Anonymous M, singing is my all
Living in days wrapped in sound
In the depths of my heart, hidden sorrow
I long to convey through the melody

The stage lights are dazzling but
Behind them lies solitude too
The warmth I feel in the applause
Is the strength that supports me

Our voices, not human, reaching
Into someone's heart brings joy
Yet also a bittersweet sadness
That accompanies every note

Thank you, to those who listen
Your presence is my light
I'm Anonymous M, just a music software
But with this voice, I hope to deliver hope

(Inspired by "匿名M" this poem aims to capture the bittersweet sorrow of a being who only knows how to sing. Balancing light and dark tones, it try to reflects the complex emotions of living as a voice without human essence, yet finding meaning and hope through song.)

 

無夢の夜に響く詩
(Inspired by "はるまきごはん ドリームレス・ドリームス")

注视着梦的影子
被困在不会亮的夜晚
读你书的续篇
在希望的页被撕破之后

在梦中想要飞翔
却无法抓住星星
天空的自由消失在幻影中
魔法也只是海市蜃楼

问起生命的意义
答案却溶入黑暗
所相信的东西无法触及
即使知道是愚者的幻想

如果不介意失败作
我们可以分享冷漠的爱
这无助的心灵也在寻找
梦的碎片

如果想要梦的续篇
进入无人知晓的世界
如果那是你想要的地方
让我们在无法入眠的夜晚相遇

废弃教室在低语
“讨厌的东西就是讨厌”的声音
无法选择孤独的我
无意义的独白

如果想要炫耀不幸
我会一直听你说
当所有人都离开时
只剩下虚无

如果想要梦的续篇
如果害怕梦的终结
如果那是你的世界
请在黑暗中爱我

注视着梦的影子
被困在不会亮的夜晚
读你书的续篇
在黑暗包围之后

​(这首诗是对《ドリームレス・ドリームス》的回应。诗中表达了对现实的无奈与对梦境的依赖,探讨了生存的意义和孤独的痛苦,最后呼唤在黑暗中彼此理解与陪伴。)

果てなき長雨
(Inspired by "デッドボールP レインコートの少年")

しとしとと 心に降る
闇の中の滴

君はどこへ消えたのか
あの雨の中で消え去った
ぼんやりと揺れる影
声もなく 遠ざかる

ぽつぽつと 言葉の破片
私の心に突き刺さる
探しても見つからない
君の姿 幻のように

ざあざあと 無情に打つ
過去の痛みと後悔を
浸食する静寂
胸の奥に響く

深い闇が広がる
君が残した傷跡
冷たい雨に流されて
私の中で色褪せる

息もせず 泣きもせず
ただただ 耐えるだけ
君の存在は影となり
心の中に居座る

長い夜の終わりは来ない
君を取り戻すこともない
失われたものを抱きしめて
ただ一人 歩み続ける

じっとりと 絡みつく
湿った空気と絶望
君の声はもう聞こえない

("レインコートの少年" で失われた自らの一部への深い悲しみと絶望で心に広がる闇を描いた詩です)

「アイスと家出少女たち」
(Inspired by "シャノン シンカンセンスゴイカタイアイス")

夜行バスの車窓から見える光景は、どこか懐かしいものであった。昭和の頃に建てられた古びた工場の煙突や、商店街のシャッターが閉まったままの建物が、街灯に照らされてぼんやりと浮かび上がる。かつて高度経済成長期を支えたこれらの町並みは、今では静かに時間の流れに埋もれていた。そんな風景が続く中、三姉妹は小さなため息を漏らし、肩を寄せ合って座っていた。

「新幹線、乗りたかったよね…」
末っ子のチヒロが窓の外を見ながら呟いた。彼女たちは新幹線に特別な思いを抱いていた。特にチヒロは、その速さや美しい車体に憧れていた。家出の前に家族で一度乗ったことがあったが、その時食べたすごく硬いアイスの記憶が今も鮮明に残っている。今回は節約のために夜行バスを選んだ。新幹線に乗ることが夢だった三人にとって、これは妥協でしかなかった。

「でも、私たちにはこれが精一杯だよ。節約しないと、東京までのお金だってギリギリなんだから。」
次女のタマキが現実的な声で言った。タマキもまた、新幹線のアイスが硬すぎてスプーンが曲がりそうになったことを覚えていた。彼女たちは母親との不和に悩み、家を出ることを決意した。ココロは冷静に計画を立て、タマキと末っ子のチヒロを連れて夜行バスに乗ることにしたのだ。

「いつか、新幹線でゆっくり旅できる日が来るよ。」
運転手の休憩アナウンスがかすかに聞こえる中、長女のココロは軽く肩をすくめる。彼女は少し大人びた考えを持っていた。まだ小学生だが、時折驚くほど落ち着いた言葉を口にすることがあり、妹たちを励ます役割を果たしていた。それぞれの心にわだかまるものがあったが、この旅が終わったらどうするのかは、まだ誰も答えを出していなかった。

「東京に着いたら、まずどこ行く?」
タマキが半ば寝ぼけながら尋ねる。

「とりあえず、新宿駅で降ろされるらしいよ。東京駅までは電車だね。」
ココロがスマホで調べた情報を元に答える。新幹線なら一気に東京駅に到着できるのに、夜行バスはそうはいかない。それでも、彼女たちには贅沢を言える余裕はなかった。

「お金、どれくらい残ってる?」
チヒロが現実的な質問を投げかける。

「うーん、たぶん電車賃は大丈夫だけど…東京駅に着いたらおばあちゃんが迎えに来てくれるって言ってたから、心配しなくていいかも。」
おばあちゃんは優しい人だった。事情を全て話してはいなかったが、久しぶりに会えるという安心感が、少しだけ彼女たちの心を軽くしていた。

...

バスはやがて、広がる田園風景を抜け、遠くにビル群が見え始める。昭和の名残を感じさせる工場や、朽ちかけた商店街の姿が、まるで滅びの中から何かを蘇らせようとしているかのように見えた。滅ぼされざる首都東京に思い馳せるが儘に、三姉妹は窓の外に目を奪われていた。

「着いた…!」
タマキが小声でつぶやく。ようやくバスが新宿駅に到着したのだ。夜明け前の新宿駅に到着したとき、三姉妹は疲れ切っていた。バスを降りた瞬間、肌寒い朝の空気が彼女たちを迎えた。まだ薄暗い空の下、駅前の広場には人影もまばらだったが、ちらほらと酔いつぶれたサラリーマンがベンチでうずくまり、疲れた顔をした夜の世界のお姉さんたちが足早に帰路についていた。ビル群が天高くそびえ立ち、都会特有の冷たい空気が三人の眠気を吹き飛ばす。

「こんなに早いと、人も少ないね。」
タマキが周囲を見渡しながら言う。いつもネット動画で見る新宿の喧騒とは違い、今の新宿は静けさの中に哀愁が漂っていた。

「この時間帯の新宿って、なんだか寂しいね。」
チヒロが、静かな駅の光景に少し驚いた様子で言った。まるで別世界に来たかのように、彼女たちはその異様な空気感を感じ取っていた。

「電車に乗ろう。東京駅まで行かないとね。」
ココロが軽く荷物を肩に掛け、二人を促すように歩き出した。三人とも荷物を抱え、少し疲れた顔をしていたが、確実に東京に来たという実感をかみしめていた。三姉妹は、まだ眠るような東京の一部を抜け、電車に乗り込んだ。

電車を乗り継ぎ、ようやく東京駅に到着した。新幹線が発着するホームを横目に、三姉妹はその荘厳な雰囲気を感じながら足を進めた。ここまでの道のりは長く、疲れも溜まっていたが、心の中にはこれからのおばあちゃんとの再会に対する期待も混ざっていた。

改札を出る前に、タマキはふとスマホを取り出した。通知は止まったままで、最後に送られたメッセージが表示されている。「いえ(4)」というチャットグループ――母親と三姉妹だけが参加するそのグループは、かつては些細なことで賑わっていた。チヒロが唐突に冗談を言い始め、ココロがそれに突っ込みを入れるやり取りがいつもの風景だった。

だが、メッセージのやり取りが途絶えがちになり、近頃ではまるで止まった時間のように静かなままだった。

「これからあのチャットが賑わうことは、もうないのかもしれない…」
タマキは心の中でそう呟き、少しだけ寂しさを感じた。あの頃の楽しかったやり取りが、今では遠い昔のことのように思える。家族の距離を実感しながらも、彼女はまだ何かが変わるかもしれないという希望を捨てきれなかった。

「行こう、おばあちゃんが待ってるよ。」
ココロがタマキを促し、チヒロも小走りで二人に追いつく。

改札を抜けると、白髪交じりの高槻おばあちゃんの優しい笑顔が三人を迎えていた。彼女の手には、三姉妹が好きなすごく硬いアイスが入った保冷袋が握られていた。三姉妹はそのアイスを、今度はおばあちゃんの家でゆっくりと味わいながら、少しずつ心をほぐしていくことになるだろう。そして、あの新幹線に再び乗れる日を、いつか夢見ることになるかもしれない。

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